305bbcaa.jpgコツコツ治療に取り組めばうまく乗り切ることができます。小児喘息の治療について、いくた小児クリニックの生田先生のお話です。

いくた小児クリニック 院長 生田 孝一郎
2006年7月15日
(鎌倉衛生時報掲載の記事です)

気管支喘息とは発作的にヒューヒュー、ゼイゼイ(喘鳴)を伴う呼吸困難が、繰り返しおこる病気です。喘息の原因はいまも完全には明らかになっていません。気管支の平滑筋が過敏になっていて、いろいろな刺激、それもわずかな刺激で気管支が収縮してしまうことが共通して見られる異常です(気道過敏性)。ダニなどのアレルギーを起こす物質(アレルゲン)が原因で発作がおきることが知られています。

小児喘息の患者さんは喘息になる前に乳児湿疹、アトピー性皮膚炎があることがよくあります。やがて風邪をひきやすくなってゼーゼーが始まり、アトピーのこどもが小児喘息と診断されるケースが多いのです。家族のなかにアトピー性皮膚炎や喘息、アレルギー性鼻炎などアレルギー体質の人がいると、こどもが喘息になる頻度が高くなります。しかし、アレルゲンだけではなく、風邪などの気道感染、寒冷などの温度変化、運動、雨や台風の時などの気圧や湿度の変化、けむり、タバコ、ほこりなどの環境汚染因子によっても発作が誘発されます。アレルギーは小児気管支喘息を特徴づける重要な要素ではありますが、気管支喘息はアレルギーだけでは説明できません。2歳までに60%、6歳までに90%が発症します。その後12−13歳頃までには約70%が治るといわれていますが、ちゃんと治療を行わないで発作を繰り返していると思春期をすぎて大人にまで持ち越してしまうこともあります。

発作時の治療は気管支拡張剤(気管支をひろげる薬)の吸入や内服を行いますが、発作をおこさないように予防を行うことが大切です。喘息発作の予防は発作 の頻度(おこる回数)や程度(発作の強さ)によって、抗アレルギー剤の飲み薬やステロイド吸入を行います。運動で喘息発作が誘発されることがあり、医師から運動を制限されたり、あるいは自分の判断で運動を控えることも少なくないようです。しかし、水泳など、喘息発作を誘発するリスクの低いスポーツもあります。また、吸入ステロイドなどを使用して気道過敏性を低下させれば運動による発作誘発を防ぐこともできます。気管支拡張薬や抗アレルギー薬を予防的に用いることにより、発作を防ぐこともできます。ふだんの治療あるいは予防的治療をきちんと行うことができれば運動はできます。オリンピック選手の中に気管支喘息患者が少なからず含まれていることがその証拠です。ただし、治療をきちんと行わず激しい運動をすると命に関わる事態になる可能性があることも認識する必要があります。喘息は本人はもちろん家族の方にもつらい病気ですが、ふだんコツコツ治療に取り組むことによってうまく乗り切ることができる病気です。昼夜ともに発作がなく、日常生活、学校生活、運動が他のこどもたちと同じように休まずできるように治療しましょう。

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