乳児は重篤になりがちなRSウイルスによる呼吸器感染症について、いくた小児クリニックの生田先生にお伺いしました。
いくた小児クリニック 院長 生田 孝一郎
2006年12月06日
あまりなじみのない名前のウイルスですが、小さいこどもほど重症になりやすいウイルスによる呼吸器の感染症で、かぜのような軽い症状も含めて多くのこどもがかかります。こどもがかかる「かぜ」の原因ウイルスのなかで大きな比率を占めています。毎年冬期に流行し、通常11月に流行が始まります。12月が流行のピークで3月頃には減っていきます。RSウイルスは肺炎の起因ウイルスでもありますが、気管支炎の10−30%,クループの3-10%はRSウイルスによるとされています。乳幼児ことに1歳以下の細気管支炎、喘息性気管支炎、クループの大きな原因です。感染力が非常に高く飛沫と接触感染の両方で感染します。3〜6ヶ月ぐらいの乳児は免疫力が弱く重症化しやすいです(母親からの免疫がなくなる時期)。一方では免疫の出来方が弱いためくり返し感染します。ただし回数がふえるほど軽くなり、2歳以上では「鼻かぜ」程度ですむことがほとんどです。症状は鼻水から始まります。そして,38-39度の発熱と咳が続きます。軽く済む場合もありますが病気が進むとヒューヒューとかゼーゼーとかいう咳になり呼吸数が増え、3−5日目頃に胸が凹むなどの呼吸困難が起こり、おっぱいを飲まなくなります。顔色が悪くなることもあります。こういう症状になると入院が必要になります。大部分のこどもたちは,8-15日で軽快します。治療は症状を抑える対症療法がほとんどです。他の「かぜ」と同じく、水分補給・睡眠・栄養・保温をして安静にして経過をみることになります。
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