305bbcaa.jpg新しいインフルエンザ治療薬イナビルが2010年10月から発売されました。 タミフル、リレンザ、イナビル3種のインフルエンザ治療薬の特徴と使用法を生田先生がお話し下さいました。

いくた小児クリニック 院長 生田 孝一郎
2011年1月5日

現在わが国では下記に述べるノイラミニダーゼ阻害薬3種類のインフルエンザ治療薬(吸入および飲み薬)が使用されております。

ノイラミニダーゼ阻害薬は細胞膜表面にあるノイラミニダーゼという物質を阻害する抗ウイルス薬の総称です。体内でインフルエンザウイルスが増殖する過程において、感染した細胞からインフルエンザウイルスが全身に拡がっていく段階で必要なノイラミニダーゼを阻害することでインフルエンザウイルスの増殖を抑制します。A型/B型インフルエンザの双方に有効です。オセルタミビル(商品名:タミフル)、ザナミビル(商品名:リレンザ)、 ラニナミビル(商品名:イナビル)があります。

1.オセルタミビル(商品名:タミフル)

内服で使用するノイラミニダーゼ阻害薬です。効果を得るためには発病後48時間以内に使用することが必要です。使用することにより発熱などの主要症状が1日以上短縮します。1歳以下の乳児での安全性は確立されておりません。また、タミフルで治療したインフルエンザ患者で異常行動のでることが報告されており10歳代での転落事故があったため、厚労省は10〜19歳でのタミフルの使用を原則として禁止しております。異常行動とタミフルの因果関係は不明ですが、タミフルを服用していないインフルエンザ患者での異常行動の報告もあります。異常行動の報告例の大多数はタミフル服用後1〜2回目の早期です。服用の有無にかかわらず発病後48時間は一人にすることなくしっかり観察することが必要です。

2.ザナミビル(商品名:リレンザ)

吸入で使用するノイラミニダーゼ阻害薬です。効果を得るためには発病後48時間以内に使用することが必要です。使用することにより発熱などの主要症状が1日以上短縮します。吸入器を用いて1回2吸入、1日2回、5日間、口から気道に吸入します。5歳以上での使用が承認されています。10〜19歳でのタミフルの使用が原則として禁止されたためこれらの年齢層ではリレンザが使用されることになるでしょう。ただ、転落事故ではありませんがリレンザで治療した患者での異常行動の報告もあります。

3.ラニナミビル(商品名:イナビル)

2010年10月19日,新しいインフルエンザ治療薬としてイナビル吸入粉末剤20mgが発売されました.イナビルはA型およびB型インフルエンザの治療薬です。本剤は長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害剤のため,1回の吸入だけで治療が完結しますので、症状改善による服薬中止や服薬忘れを懸念する必要がありません。タミフルやリレンザのように合計10回の内服または吸入の必要がありません。イナビルの投与量は10歳以上では40mg(20㎎を2本),10歳未満の小児は20mg(20mgを1本)です。イナビルには1回吸入で済むという利点がありますが,一方で吸入を失敗した場合には無駄になってしまうというリスクがあります。

4.治療の選択について

ノイラミニダーゼ阻害薬である3種類のインフルエンザ治療薬について述べましたが、インフルエンザはこれらの薬剤を使用しなければ治らないということではありません。発熱などの症状は長く続いても自然治癒します。治療法の選択については医師とよく相談して決めてください。

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2011年01月05日 │ コラム │ コメント(0)│ トラックバック(0)

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