幼稚園までに1度はかかると言われる夏の感染症。手足口病、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱にかかったときの対処法について、いくた小児クリニック・生田先生からの情報です。
いくた小児クリニック 院長 生田 孝一郎
2008年07月16日作成
2008年07月22日追記
高温多湿の好きな夏かぜの代表ウイルスはエンテロウイルス、アデノウイルスです。エンテロとは「腸」のことを言います。腸でも繁殖して腹痛や下痢などの胃腸症状をおこします。アデノとは「のど」の意味です。呼吸器と腸で繁殖して、のどの痛み、発熱、が特徴。咽頭結膜炎や咽頭炎をおこす場合もあります。
夏のウイルスでおきるかぜには主に以下の3種類があります。
- 手足口病(手、足、ひざ、口の中に小さな水ぶくれができる)
手足口病はエンテロウイルスが原因で起こる皮膚の病気です。コクサッキーウイルスA16、またはエンテロウイルス71型などによる夏かぜです。手足口病は口内炎や手のひら、足の裏、おしりなどに小さな水ぶくれができるのが特徴で、幼児や小学生によく起きます。水ぶくれは3〜5日ぐらいで消えてしまい、あとが残ったりすることはありません。主に発疹が出る部分は手・足・口ですが、場合によってはお尻〜大腿にも出ることがあります。また、発疹の部分のかゆみや痛みは起こらないのが普通ですが、場合によっては、軽い痛みを感じることもあるようです。熱はあまりでません。熱がなく食事がとれれば登園、登校は可能です。
ごくまれに髄膜炎になることがあるので注意は必要ですが、通常は、からだ全体に対する影響は鼻かぜ程度のものと考えてよいと思います。ただし、小さな子供で口の中の発疹がひどいと、食事がとれなくて脱水傾向になることがあるので注意が必要です。 - ヘルパンギーナ(高熱と喉の奥に小さな水ぶくれができる)
コクサッキーA群ウイルスによる「ヘルパンギーナ」も、主な夏かぜのひとつです。
まず、のどに赤い小さな発疹ができます。それが水疱となり、破れて潰瘍になります。38〜39℃の熱が平均3日間続きます。症状として特徴的なのが、潰瘍によるのどの痛み。つばも飲み込めず、ヨダレをたらす子どももいます。食事もおっくうになりがちです。
高熱とのどの痛み以外は症状が軽く、あまり心配することはありません。夜間に熱を出し、ほかにけいれんなどの症状がなければ、翌朝、受診すれば大丈夫。治療は、ふつうのかぜと同じです。のどの水疱がひどくなるとよだれを飲みこむのさえ痛いので、食事はやわらかい、のど越しのよいものがいいでしょう。おかゆ、うどん、豆腐、アイスクリーム、ゼリーなどが喜ばれそうです。 - 咽頭結膜熱(目が赤くなる。高熱、のどの痛み、下痢など)
咽頭結膜熱はアデノウイルス3と7型感染による夏かぜです。通称「プール熱」といわれていますがプールやタオルのみで感染するわけではありません。プールに通いはじめるころに流行するので、この名前がつきました。症状は39℃程度の高熱が4〜5日間出て、咽頭(のど)と眼球結膜が充血する病気です。
特別な治療法はなく、治療の中心は対症療法になります。のどの痛みが強く、高熱が続くため食欲がなくなります。脱水症状を防ぐためにも水分はこまめにとるようにしましょう。イオン飲料や麦茶、牛乳、プリン、ゼリーなど、本人が好きなたべものをあげてください。夏なので部屋も快適にして、すごしやすくしましょう。感染力がとても強いため家族内で使用するタオルなどからも感染してしまいます。タオルは別々にして、他の家族の方も手洗いをおこなってください。 熱が下がって、他の症状が改善したら登園、登校しても大丈夫です。
こうした夏かぜは、人から人に直接伝播する飛沫感染です。原因ウイルスが2種類以上あると、繰り返しかかります。幼児から小学1〜2年生までに多く、高学年になると免疫をもつようになるため少なくなります。
大きいお子さんでは、比較的頭痛を訴えることが多いようですが、夏かぜは髄膜炎を合併することもあり、強い頭痛や嘔気を訴えるときには、医療機関を受診しておいたほうがよいでしょう。高熱があっても比較的元気な夏かぜの場合は、40度であっても夜中にあわてて救急にかかる必要は少なく、「よく冷やす」「水分を十分に補給する」という対応で翌日に小児科にかかればよい場合が多いと思います。
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