305bbcaa.jpg 花粉症も含むアレルギー性鼻炎とその治療法について、いくた小児クリニックの生田先生のお話です。

いくた小児クリニック 院長 生田 孝一郎
2019年4月8日

アレルギー性鼻炎(花粉症も含む)とは

体内に花粉やダニなどの原因物質(アレルゲン)が入るとIgE抗体がつくられます。このIgE抗体が白血球の一種である肥満細胞に付着することでアレルゲンが鼻の粘膜から体内に侵入し、免疫反応がおこりヒスタミンやロイコトリエン、トロンボキサンという化学伝達物質が放出されることで鼻水・鼻づまり・くしゃみなどの症状が引き起こされる病気です。ヒスタミンは鼻の神経を刺激してくしゃみ・鼻水に、またロイコトリエンやトロンボキサンなどは血管を刺激して鼻づまりに関係していると考えられています。通年性(1年中症状が出るタイプ)と、季節性(特定の季節に症状が出るタイプ、いわゆる花粉症)とがあります。

アレルギー性鼻炎のアレルゲンとして多いのが花粉です。中でもスギ・ヒノキ花粉が多く、次いで、イネ科植物、ブタクサとなっています。花粉は、植物によって飛散する時期が異なります。また、通年性アレルギー性鼻炎のアレルゲンとしてはホコリやダニが多いです。

「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」が3大症状です。花粉症の場合目のかゆみもよくみられます。そのほかに頭痛、頭重感、食欲不振、耳・のどのかゆみなどの随伴症状が起こることもあります。また倦怠感や意欲の低下にもつながります。こうした症状は非常に不快で、日常生活の質を低下させます。学業や仕事に悪影響をきたすこともあります。

診断は問診が重要です。症状や発症年齢、症状が出やすい時期、家族歴や他のアレルギー疾患の有無などを確認します。アレルギーの原因を探るための検査として、血液検査(特異的IgE抗体検査)を行います。


アレルギー性鼻炎の治療

①アレルゲンの除去

アレルギー性鼻炎の治療の原則は、原因となるアレルゲンの除去です。室内の掃除をこまめにしたり、カーペットや布張りのソファーを避けるなど、ダニ対策を中心とした環境整備を行います。また、花粉症の場合には、花粉が飛散する時期にマスクを付けて外出する、花粉を室内に持ち込まない工夫などの対策も行います。

②薬物療法

アレルギー性鼻炎の治療薬には、飲み薬や鼻に直接投与する噴霧薬などがあります。飲み薬は、抗アレルギー剤やロイコトリエン受容体拮抗薬という薬がよく使われ、症状を引き起こす物質を抑えるはたらきがあります。ステロイド点鼻薬は、鼻の粘膜の炎症を抑えるはたらきがあります。症状や重症度に応じて、これらの薬を組み合わせて治療を行うことがあります。目の症状(アレルギー性結膜炎)には抗アレルギー点眼薬があります。程度が強い場合ステロイド点眼薬を用いますが、特に小児では眼圧亢進なども起こりえますので眼科受診をおすすめします。

③アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)

アレルゲン免疫療法は、アレルギー性鼻炎を根本的に治すことが期待できる唯一の治療です。アレルギーの原因となる抗原を少しずつ体内に入れ、体を慣らすことによって、長期に渡って症状を抑えたり薬の量を減らすことが出来ます。アレルゲン免疫療法には、注射で行う皮下免疫療法と、薬を舌の下に入れる舌下免疫療法があり、当院では、舌下免疫療法を行っております。

舌下免疫療法は、ダニおよびスギ花粉に対して行われており、1日1回少量の治療薬から服用をはじめ、その後決められた一定量を数年間にわたり継続して服用します。口の中の痒みや不快感などの副作用が出ることがありますが、皮下免疫療法に比べると重い副作用は出にくいといわれています。初回の服用は医療機関で行い、その後は自宅で毎日服用を続けます。スギ花粉およびダニに対する舌下免疫療法については後述しております。


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2019年04月08日 │ コラム │ コメント(0)

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