305bbcaa.jpgインフルエンザワクチンの安全性や有効性、お子さんに接種した方がいい理由について、西鎌倉こどもクリニックの下田先生のお話です。

西鎌倉こどもクリニック 院長 下田 康介
2024年10月11日

インフルエンザワクチンが始まりました。

①新型コロナワクチンでいろいろ問題や懸念が出て、接種直後の死亡例2例は厚労省も因果関係が否定できないなど、ネガティブなイメージが払拭できない中、インフルエンザワクチンの接種も見合わせようかという雰囲気が感じられます。

コロナワクチンはコロナウイルスの遺伝子の一部を切り取って接種し、受けたひとの細胞の遺伝子を利用してコロナウイルスの遺伝子を体内で増幅して免疫をつくる仕組みになっている人類史上初めてのワクチンです。ウイルスの遺伝子を直接いれることへの長期的な問題が懸念され、私自身15歳未満の小児には推奨していません。

インフルエンザワクチンはウイルスを「不活化」したもの、もっとわかりやすく言うとウイルスの「死骸」を高度に精製したものを使用しており、1951年以来の歴史があります。接種後の死亡例は毎年2ないし3件報告されていますが、因果関係が認められた例はありません。新型コロナワクチンより実績がたくさんあり、安全性も確認されています。

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②インフルエンザワクチンを自費で接種しても、効果がなく、結局かかってしまう。

確かにインフルエンザワクチンを接種した方の6割は発病してしまいます。つまり、インフルエンザワクチンは発病予防ではなく軽症化を目的にしています。典型的な例は、インフルエンザ脳症です。1歳をピークに乳幼児に見られ、発熱初日からけいれん重積と意識障害でおよそ三分の一の方が亡くなります。抗インフルエンザ薬が効く前に急速に病状が進行してしまいます。ワクチンを受けていると、インフルエンザ脳症はほぼ防げます。

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③かかっても今はいい抗インフルエンザ薬があるから、わざわざ自己負担で接種するまでもないのでは。

確かにゾフルーザという画期的な内服薬がありますが、錠剤のみでドライシロップなど粉の剤型はありません。また、イナビルやリレンザなどの吸入薬はやはり使用可能な年齢が限られてしまいます。タミフルにはドライシロップという粉薬がありますが、味が悪く3人にひとりは吐き出してしまうというデータもあります。またタミフルが効かないインフルエンザウイルスも珍しくなく、全年齢で耐性率が0.5%でも、14歳以下の小児では3割が効かないという東大医科研の報告があります。

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以上、やはりインフルエンザワクチンを軽症化を目的に接種することをお勧めします。

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2024年10月12日 │ コラム │ コメント(0)

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